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5.アパレルCADについて

 企業向けのアパレルCADは、ワンシステム数百万などと高額で、とても個人では手が出ません。パターンメーキングという作業だけを考えると、一般的なパソコンとソフトで十分かと思えます。

 パターンメーキングするときに必要な道具は、紙、鉛筆、消しゴム、定規、カッターナイフ、プッシュピン、メンディングテープです。これらの道具をパソコン上で使うと思えば、必要なソフトがシンプルにイメージされるのではないでしょうか。以下に、それぞれの道具をソフトの要件として考えてみます。

■紙
 必要な大きさがあり、展開したパターンを清書するために何枚でも用意され、途中経過を後でチェックすることができる。→A0以上の用紙設定、レイヤー機能

■鉛筆
 直線はもちろん、カーヴ線も簡単に描ける。→直線からベジェ曲線へのスムーズな連動

■消しゴム
 修正が簡単である。→変形ツール

■定規
 図形のどの部分でも寸法を計ることができる。→キルビメータ、線分情報

■カッターナイフ
 図形を任意のところで自由に切り取ることができる。→切り欠き、抜き取り機能

■プッシュピン
 二つの図形のポイントを合わせて自由に回転させることができる。→回転ツール

■メンディングテープ
 切り開いた図形を貼り合わせる。→貼り合わせ機能

 これらの要件に、アパレルとしての特殊性というものはありません。要件を満たすならば、専用である必要もないということです。ちなみに、私が使っているソフトはベクターワークスという建築ユースのCADです。

 私が、立体裁断についての本を書こうと思い立ったとき、秋葉原で2万5千円(定価5万円)で購入したのがエーアンドエー社のパームドローというソフトでした。安価でありながらパターンメーキングに必要な機能はすべて備わった優れモノでしたが、残念ながら販売中止となりました。このプロ版がミニキャドで、現在ではベクターワークスという名前に変更されたということを後日知り、さっそく買い求めたものです。

 建築向きなので必要のない機能が満載ですが、ツールメニューがカスタマイズできるので、作業環境をパターンメーキング用に設定することが可能です。右クリックのメニューも自由設定、ショートカットも自由自在でポインターをたびたびツールボックスに運ぶこともなく、マウスの中央ボタンでズームインアウトもでき、図形に集中できます。また、ポイントのスナップがガイド表示されるだけではなく、カチッなどと効果音が出ます。PCにもMacにも使え、特別な中間ソフトを必要としないでそのままプロッターに出力できます。さらに、DXF形式で書き出しすことができ、アパレルCADとのファイルのやり取りも可能です。DXF形式で書き出されたデータを出力してもらえるサービスがネット検索するとすぐに見つかります。プロッターを持っていなくても印刷が可能です。

 アパレルCADと比べると格段に安いですが、20万というのはまだまだ高いように思います。使う機能に合わせて1/3にしてほしいものです。

 そう、6万円のアパレルCAD!このくらい安価なソフトを使って、簡単にパターンメーキングできる時代が来ることを夢見ています。